機動戦士ガンダムSEED
2003年 全50話


評価 65点

作品解説

 機動戦士ガンダムSEED HDリマスター Blu-ray BOX 1 (初回限定版)
バンダイビジュアル (2012-03-23)
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ヘリオポリスに住んでいたコーディネーターのキラ・ヤマトは、ザフトの攻撃に巻き込まれ、そこでかつての友人アスランと再会する。戦争という大きな流れの中で、彼らは敵同士として合間見えることになるのだった。


∀ガンダムで富野さんが自ら壊したガンダムのイメージ…ですが、この作品ではまた元の場所に戻ってきました。商業的に上手くいかなかったからなんでしょうか?とりあえず、この作品の根本にはファーストガンダムのオマージュというのがあり、そこに現代っ子受けしそうな要素がプラスされている印象です。
まあ、そういうコンセプトで行こうというのは構わないですよ。新たなガンダム層を獲得し、ガンダムというブランドが次のステージに進むためにはそれもいいのかもしれません。ただ私が気になったのは、作中での色々な部分の決着がどうも曖昧だった点です。
この作品の根幹には、普通の人間(ナチュラル)と遺伝子操作された人間(コーディネーター)との間に生まれた確執というものがあるのですが、そこに繋がる人々の内面的な問題はスルーされて終了しました。ただ軍隊同士が戦って、戦力が無くなったからハイお終いとかいう単純な話では無いはず…もっと根っこの部分の問題を解決しないことには何も終わっていませんよ。さんざ問題提起だけはしておきながら、答えを出すのを放棄しているようにも見えました。もしかして、最初から続編の予定があって、その部分の解答をわざと保留にしたのでしょうか?(ちなみに、続編のDESTINYでは答えが出されるどころか、さらなる迷宮に足を踏み入れてしまいましたけど…)
あと、作中ではやたらキャラクター重視の物語が展開されているのですが、ぶっちゃけそちらもキチンと描き切れていないんですよね。中盤まではいい感じに動いている奴らもいたのに、各キャラ最後まで面倒を見切れず、後半は扱いがどんどん雑になっていって戦争でうやむやにしてしまった…そんな印象を受けましたね。何と言うか、全てがまとめきれていないのです。
とは言え、この作品が悪い部分ばかりだったと言うわけではありません。その場その場の見せ場に対する盛り上がりだけは、これまでのシリーズと比較しても大したものです。熱くなれるシーンも結構ありました。新しい機体に乗って、皆のピンチに颯爽と駆けつける主人公…なんて、もうとっくに使い古されている定番のシチュエーションですが、それでも演出がよかったためかテンション上がりました。
総評としましては、個々の見せ場に対する演出はよく出来ていたものの、広い視野で全体を見た時はその構成の適当さが浮き彫りになって、どうも中途半端で薄っぺらい作品に見えてしまうというのがありました。まあ、後半でグダグダしていた部分が目立ちましたが、途中までは結構楽しめて見れた部分(主にフレイ様とかw)もありますので、そこは評価したいですね。(けれど、旧作ファン…特にファーストファンには受け入れられそうにないですw)



主な登場人物と名言(?)

・キラ・ヤマト 「気持ちだけで一体何が守れるっていうんだ!」
 地球軍所属のコーディネーター。悩み多き年頃です。『とりあえず主人公は美少年で、悩めるキャラにしとけ。そうしたら視聴者にもうけるだろう』とか何とかでGOサインが出たような気がしてなりません。とりあえず、最強のコーディネイターらしく超強いです。ちなみに、彼の愛機フリーダムガンダム…これなんかおかしいです。たしかガンダムの語源は『ガンボーイ』+『フリーダム』…ガンダムには、すでにフリーダムって意味が込められているのですよ。

・アスラン・ザラ 「俺はバカだから…」
 キラの友達のコーディネーター。婚約者(ラクス)をキラに奪われたバカ(笑)です。でも、ちゃっかりカガリをキープしとくとこなんか抜け目ないです。しかし、彼にじゃじゃ馬のカガリを乗りこなすことが出来るのでしょうか?アスランの女難は次作のDESTINYへと続く…

・ラクス・クライン 「想いだけでも、力だけでも駄目なのです」
 はっきり言って、私は彼女がまったく分かりません。その性格や行動理念、考えの全てが謎です。さては、神(製作者)の見えざる手の働きで動いている?とりあえず、SEEDが駄目になった要因の一つとして上げときます。どういった理由でキラとくっついたのかも不明。ヒロインはフレイ様だけで十分じゃあ〜テメエはいらねえよ!

・カガリ・ユラ・アスハ 「逃げるな!生きるほうが戦いだ!」
 一言で言えば暴走したリリーナ。某平和国の王女様…というところまでは同じですが、戦争や兵器を嫌ってるくせに、自分もそれを使って戦います。あきらかに矛盾してんじゃーん。

・フレイ・アルスター 「夕べはキラの部屋にいたんだから!」
 前半〜中盤まで物語をかき回してくれたSEEDの裏ヒロイン。これまでには無いような『女の武器』を使って主人公を鼓舞させる様には、かなり興味を惹かれました。ラクスのマイナス分を帳消しにするほど魅力的なキャラであり、個人的には大好きです。なので、後半の扱いはちょっと不満でした。最後は強引にララアに見立てたような立ち位置でしたが、彼女の役割的にはそれは違うだろうって感じでしたね(実際、キラ君にはあまり影響を与えていないようで、DESTINYでも彼女の存在はすっかり忘れられているし)。むしろ、前半あれだけ盛り上げたんだから、キラ・フレイ・サイの関係をキチンと描ききってもらいたかったというほうが大きいです。

・サイ・アーガイル 「お前は帰ってくるよな?」
 この作品で一番のナイスガイ。性悪主人公に女を寝取られながらも、後半までイイ男を貫きました。彼がキラに張り合ってストライクを動かそうとしたシーンは、何かぐっとくるものがありましたね。後半での彼の活躍をひじょ〜〜〜〜に期待していたのですが、途中からはほとんど存在を消されてました(涙)。ありえね〜!!

・ムウ・ラ・フラガ 「やっぱ俺って、不可能を可能に…」
 変態仮面の相方(笑)です。ラミアス艦長とプラトニックLOVEをしている姿はキュンときますね。キラ×ラクスなんて描くよりか、よっぽどこっちの恋愛事情描いてくれたほうがおもしろいような気がしたのは私だけ…?

・ラウ・ル・クルーゼ 「私にはあるのだよ。世界でただ一人、全ての人類を裁く権利がな!」
 変態仮面。なんか偉そうなこと言っちゃってますが、こいつにそんな権利はない!(断言)。お前にあるのは、せいぜいどこぞの小者カテゴリーFのように、相方を知覚できる権利くらいのもんだー!!この作品の内容を考えると、結局多くの人間を戦争に巻き込んだこいつの一人勝ちって気がします。その後に皆が得られたものは何も無いから…



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