機動戦士ガンダムSEED DESTINY
2005年 全50話


評価 40点

作品解説

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売り上げランキング: 2005

オーブに住んでいたシン・アスカは、戦争に巻き込まれ家族を失います。数年後、ザフトへと入隊した彼は、自ら戦いの中へと身を投じていくのでした。


やっちゃいました、ガンダム史上最大の汚点。ぐだぐだのいい見本って感じですね。
前作SEEDの悪いところがそのままパワーアップ。あちらのレビューで書いた欠点が、そのまま全てこれにも当てはまります(しかも一層ひどくなって)。このSEEDシリーズというやつは、後半がほんとヤバイです。ここまでまとまっていないのは、逆に凄いですよ。
この作品の主人公(笑)であるキラ達は、確固たる思想も明確な未来へのビジョンも持っていないまま、議長のやろうとしていることはいけない気がする…っていう個人的な理由で戦いに挑みます。なのに、まるで自分達が世界の運命を背負った英雄であるかのように振舞っているところが、見ていて傲慢というか痛々しいんですよね。実際は、後先のことを何も考えていない只の烏合の衆のくせして、お前らは何様だっての!理想無き力は正義でも何でもありませんよ。
戦争と平和をテーマとして掲げている作品で、相手がその戦争を無くすための一つの答えを曲がりなりにも提示している以上、こちらもそれに変わるものを持って相手と向き合わなければ話になりません。こんな考え無しの奴らがメインなので、作中では当然のように何の答えも出されていません。平和とか、戦争とか、散々言及してきたくせに結局丸投げってやつですw
つか、ラクス一派は戦いを完全否定派だったはずです。なのに、議長がディスティニープランを発表し、戦いを無くすんだと言った途端、奴らは人類は戦わなければいけない…なんてことをほざき始めました。もう無茶苦茶ですよ!
はっきり言って、何がやりたいのかさっぱり分からない作品でした。どうせ上手いことテーマを扱えないのなら、最初から勧善懲悪なヒーローものとして描いてくれてた方が全然良かったです。中途半端な構成力で戦争とか平和を語ろうとするから、こんなどうしようもないことになるんですよ。
とりあえず、その場さえ盛り上がればいいみたいな安易な発想で全体が構築されているから、何を軸として見せたいのか分からないし、物語に一貫性もまるでありません。
主人公交代劇もその一つ…別に、複数主人公の作品が悪いと言うのではありません。成功例も多々あります(銀河英雄伝説など)。ただ、最初からそういう構想の下にキチンとした骨組みを作っていたわけではなく、行き当たりばったりにストーリーを進行させて、あまり考え無しにキラ側をメインにしちゃったのではないでしょうか?だから、彼らの行動理念がしっかりと定まってないように思えたんですよね。
前作では一応褒めておいた「味方のピンチに颯爽と登場する主人公」というシチュエーションですが、乱発しすぎでそれも飽き飽きです。あまりにもわざとらしくて見てられませんでしたよ。そして、バランスを完全に無視したキラ贔屓のデタラメな強さ…もう嫌悪感が先にきてしまって、虫唾が走りそうになりました。
まあ、見所がまったく無いわけではありません。しかし、これは多くのファンがいるガンダムというビッグネームを使っている作品なんです。普通の作品とは違い、ファンは最初からある程度の出来を期待しているもの…それは製作者サイドにも分かっているはずです。それなのに、こんな破綻した出来じゃあ、そりゃ叩かれますよ。
私自身も昔からガンダムが好きなもので、ついこの作品に対してきびしく書いてしまいました。長くなりましたが、一ガンダムファンとしての意見でした。



主な登場人物と名言(?)

・シン・アスカ 「あんたって人はー!」
 この物語の主人公(?)。別名ラッキースケベ。あまり心に残る名言がありません。それは己自身の主義主張がなく、只怒っているだけですから。何から何まで中途半端…携帯いじってるだけじゃあ、さすがに主人公の座を奪われるわな。お前の怒りをぶつける相手は、キラでもアスランでもないよ。それはこのような境遇に追いやった(こんな展開しか作り出せなかった)製作者だ!

・アスラン・ザラ 「その怒りの本当の訳も知らないまま、ただ戦っては駄目だ!」
 この物語の主人公(暫定)。多くの女性キャラに振り回されているヘタレです。何か最初のほう偽名を名乗っていましたが、覚えている人は少ないでしょう。ゼータをなぞっただけの大して意味の無い設定でしたからね。思えばクワトロは、正体バレバレなのにそれを貫き、時と場合によって名前を使い分けていました。こいつにもそれくらいのふてぶてしさがあれば、ヘタレを返上してたと思うのになぁ…

・キラ・ヤマト 「覚悟はある。僕は戦う」
 この物語の主人公(確定)。SEEDから数年…すでに何か達観しているような印象を受けますが、実際はこいつも何も考えていない只の狂信的なラクス教の信者です。具体的な理想を持っていないのに、他の戦力を圧倒出来るだけの並外れた力を持ってたりするから厄介なんですよ。とりあえず、こいつの発言や行動は全て癪に障りました。何処の完璧超人だって風で、あまりにも人間味(キャラクターとしての魅力)が感じられないんですよね。さすがはスーパーコーディネーター様、常人には理解出来ません。ハッキリ言ってこんな奴いたらキモイわ…w

・ギルバード・デュランダル 「全ての答えは、皆が自身の中に既に持っている」
 声がシャアの人。さすがに指導者役は板に付いていて、演説もバッチリ様になっています。ただし、独裁者…悪役…どれもいまいちしっくりこず、正義のヒーローキラ様(もちろん皮肉ですよw)に対する悪のラスボス役としてもってくるには、少々微妙な立ち位置かもしれませんね。赤いMS(MA)で出撃してくれるのをちょっとだけ期待してたんですが、パイロットというわけでも無いのでそれはありませんでした。

・レイ・ザ・バレル 「そうさ、終わらせる。今度こそ必ず…すべてを!」
 この作品で最も納得できなかったこと…それは、最終話でいともあっさりとこいつが考えを変えたことです。この作品をキラ達の正義で終わらせるためには、それを支持するもの…特に、敵側において考え方を変える者の存在(シンは何も考えてないので役者不足)が必要だったんでしょうが、それまでの議長崇拝っぷりを見ていると、あまりにも唐突すぎて不自然極まりないものに思えました。

・ルナマリア・ホーク 「忘れてた?私も赤なのよ」
 迷えるヒロイン。けど、こいつの場合はそれでいいと思いますね。アスランに憧れつつも、彼の裏切りによってシンの方に行く…立ち位置としてはなかなか面白いと思います。愛が深い憎しみに変わるってのは、定番ながらも盛り上がる設定なので、アスランとの間にもっとドロドロした関係でもあればさらによかったかも。彼女といい、妹のメイリンといい、この姉妹はもっといい感じに仕上げれたはずだよ。

・ステラ・ルーシュ 「死ぬのは嫌!」
 情緒不安定な強化人間。何か途中でシンとの色々なイベントがありましたが、最終的な彼女の役割はというと、「また明日」なのでしょう(最終話でそう言ってましたし…)。ただ、その意味がまったく分からん(汗)



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