よみがえる空 -RESCUE WINGS-
2006年 全12話+1話


評価 80点

作品解説

 よみがえる空 ―RESCUE WINGS― DVD-BOX (初回限定生産)
バンダイビジュアル (2009-04-24)
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ジェット戦闘機のパイロットになりたかった内田一宏は航空自衛隊に入隊するが、自分の希望とは裏腹に選考過程でヘリコプターの操縦士にまわされるのだった。


テーマとしては、航空自衛隊の救難活動がメインとなっています。系列的には、め組の大吾(地上)、海猿(海)に連なるもので、こちらは「空」からの活動が描かれていますね。
非常にリアリティがある設定であり、先に挙げた2作品同様に実写ドラマ化されても全然おかしくない内容です。まあ、TVシリーズで毎週ヘリを飛ばすのはさすがに金銭的な面で難しいでしょうから、これに関してはアニメの方がやり易いんでしょうね。(ただし、後にこの作品をベースとする実写映画が製作されています)
話としても非常にシリアスなものでした。この手のものだと、主人公が華麗に活躍して要救助者を救う…ってのがまずイメージされると思いますが、ここでは現実はそんなに甘くないんだと突き付けてくれます。まあ、主人公は新米な上に仕事に対して複雑な想いも持っていますから、そういう奴に人命救助の重みを見せ付けるためには、初っ端からシビアな展開を持ってくるのもいいかもしれませんね。実際、失敗(=助からないこと)からの方が学ぶことも多いですから。
また、そういうシリアスな雰囲気を作ることで、非常に良い緊迫感が作中で生まれていました。救助シーンなど一寸先はどうなるか分からなく、最期まで決して油断できない…要救助者が病院で生存確認されるまでは気が抜けず、目が離せませんでしたね。まさに「帰るまでが遠足」ですよ(笑)
とまあ、非常に堅実な作りで良く出来た作品なのですが、残念だった点が一つあります。それは、主人公の空がまだ“よみがえってない”ところです。救命に対する心構えみたいなものは主人公も学びましたが、新たな生きがいとなるレベルまでは至っていません。1クールという短い作品なので仕方ないと思いますが、主人公の空がよみがえった時、この作品は超名作へと昇華されるのではないかと思います。だから、もうちょっと見たかった気もしますね。
真面目でお堅い作品なので苦手とする人もいると思いますが、リアルなドラマが見たい人にはオススメです。



主な登場人物と名言(?)

・内田 一宏 「声が聞きたいんじゃ。ほんまの声、聞かせてくれ」
 主人公。ファイターを目指していましたが、選考過程でヘリのパイロットにまわされてしまいます。自分の中で気持ちの整理は付けたつもりでしたが、心の奥にはやはり現状に対してわだかまりもあるようです。おそらく、そういうところを見抜かれたのでしょう…上官の本郷三佐からは初っ端から中途半端扱いされて、厳しく当たられていました。自分の空を見失いつつある中で、救難の過酷な現実を目の当たりにして苦悩することになります。

・本郷 修二郎 「お前はいつもどんな目で空を見ている?ヘリパイの目で見ているか?」
 小松救難隊に所属するベテランのヘリパイ。鬼軍曹の名を欲しいままに、特に内田に対しては厳しい態度で接しており、両者は衝突することも多かったです。しかし、家ではそんな姿は影を潜めて、娘に甘々のマイホームパパをやってました。かつては戦闘機のパイロットであり、操縦の腕は全国でもトップ3に入るほどと言われています。ヘリパイに配置転換したのには、何か色々と理由があるようですね。

・長谷川 めぐみ 「ウチを置いてったら、おえんじゃろが」
 東京に住む内田の彼女で、現在二人は遠距離恋愛中。読書家であり、小さな出版社に勤めています。色々思い悩むことの多い内田にとっては癒しとなっていますが、自分自身も仕事で上手くいっていないことが多く、彼女なりに奮闘する姿が描かれたりもしました。仕事(好きなこと)に対して、熱心で真面目な性格が見て取れました。



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