屍鬼
2010年 全22話+2話


評価 80点

作品解説

 屍鬼 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
アニプレックス (2010-10-27)
売り上げランキング: 1095

周りから隔絶された集落・外場村に、何処かから移築された洋館ができ上がる。それと同時期に、村人がどんどん原因不明の病で亡くなっていくのだった…


有名小説を原作とするホラーアニメ。序盤はいまいちテンション上がらずに見ていましたが…中盤以降のストーリー・展開力に圧倒されました。なんだこれ…とんでもねえよ!
物語は、屍鬼と呼ばれる人外の存在と人間との争いが描かれていました。序盤はその屍鬼が水面下でじわじわと勢力を増していく様子が描かれています。彼らは、吸血鬼のように血を吸うことで自分達の仲間を増やすことができるため、どんどん人を襲っていきます。その辺で、不気味さや恐怖感を煽る演出等はあるのですが、物語を動かすような特別大きなイベントはなかったので、先述したようにそこまで盛り上がるものではありませんでした。
しかし、その屍鬼の存在が露見してからが本番です。その頃には、屍鬼はもう大きな勢力となって人間を脅かす脅威となっています。それに対し、対抗手段を持たない人間側…また、屍鬼のような化物の存在を信じない村の人々。何人かは屍鬼のことに気付いて抵抗しようとするのですが、個人の力なんて所詮は知れています。彼らも追い詰められ、もう村は壊滅寸前…ここからどう盛り返してくるのか!?久々に、続きが気になって仕方ない作品に出会った感じです。
そして、後半…どえらい展開ですね。屍鬼の弱点をあばくために、尾崎先生が行った行為からして度肝を抜かされましたが、なにより屍鬼との全面戦争が始まってからの人間側の狂気がすごい!ある意味、屍鬼よりも怖いものがあったかもしれません。逆に、この頃からは屍鬼側の想い…人間に虐げられて日陰でしか暮らせないものの苦悩なんかも垣間見ることができるようになりました。
ただまあ、欠点を挙げるとするなら終盤は慌しすぎたかな?この作品、登場人物が物凄く多いのです。村単位での災厄を描いているので、その村に住んでる老若男女がそりゃあもうたくさん登場してました。このこと自体は別にいいのですが、終盤を駆け足で描いているために、そういった村人(特に屍鬼化した人々)の細かい描写が無いままで終わっちゃったんですよね。いいキャラもいっぱいいたのですが、「あれ?こいつ、いつの間にか死んでる…」みたいな(汗)。そこんところが勿体無い。
そういえば、DVD/BDでは、TV未放送の2話が収録されるみたいですね。まあ、そんな彼らの描写が補完される可能性は低いかもしれませんが、どうも後日譚をやるみたいなのでこれはこれで楽しみです。



主な登場人物と名言(?)

・尾崎 敏夫 「これが俺の正義だ」
 尾崎医院の院長。村で蔓延する死の病に対し、何とかその原因をつかもうと躍起になっています。村を守ることに対して、ある種の使命感のようなものを持っており、彼の狂気ともいえる感情があればこそ、皆が屍鬼と戦うためのフィールドに立つことができたとも言えます。

・室井 静信 「村は死によって包囲されている」
 敏夫の友人。寺の住職であり、敏夫同様に村に広がる死の病に対して、危機感を持っています。副業として小説を書いており、その縁から沙子と交流を持つようになります。

・結城 夏野 「何故俺は障子を閉めるようになった?」
 都会から村に転校してきた高校生。ドライな性格のため人付き合いを煩わしく感じ、村での生活にうんざりしています。屍鬼の存在に早くから気付き、彼らと戦うために動き始めますが…。

・武藤 徹 「あんたに何が分かる?」
 夏野が心を許す村での唯一の友人。心優しい青年であり、その性格が故に色々と苦悩することになります。

・清水 恵 「こんな村、だぁーいっきらいよ!」
 夏野のクラスメイト。都会に行くことを夢見て、いつも村には似つかわしくないようなファッションを身に付けています。都会から来た夏野に対しても想いを抱いていますが、本人からは鬱陶しく思われています。序盤で謎の死を遂げることになるのですが…。

・田中 かおり 「私に戒名をください」
 恵の友人。本人は恵のことを親友と思っていますが、恵の方からは田舎臭くてウザイ子と思われています。屍鬼の存在に気付き、夏野と協力して彼らのことを調べようとします。

・田中 昭 「俺たちは逃げない」
 かおりの弟。姉は怖がりで臆病ですが、彼の方は年下ながら男らしく勇敢なところもあります。ただ、その勇敢さと好奇心が危険を招くことも…。

・桐敷 正志郎 「妻の浮気を手伝うとは…」
 桐敷の当主。村の人とは一線を画す風貌であり、立ち振る舞いも毅然としていて、まるで貴族のような印象です。そういうところを受けてか、声優はGACKTさんでした。

・桐敷 千鶴 「私のえ・も・の」
 正志郎の妻。妖艶な雰囲気を持つ美女。沙子と同様の病気を患っているため、夜中しか出歩きません。

・桐敷 沙子 「ちゃん付けしないで!」
 桐敷家の娘。ある病気にかかっており、日中に外を出歩くことができません。室井の小説のファンであり、彼女の意向によって桐敷家は外場村へとやってきました。

・辰巳 「君は殺す特権を手に入れたんだ」
 桐敷家の使用人。耳(?)のような髪が特徴的です。人当たりのいい青年ですが、裏では色々暗躍しているような様子もあります。



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