十二国記
2002年 全45話


評価 70点

作品解説


中嶋陽子はある日、景麒という謎の青年と出会う。それと同時に現れる異形の化け物…陽子は景麒に連れられ、異世界へと迷い込むのであった。


これね〜タイトルから三国志のような大活劇戦乱ものを想像してたんだけど、蓋を開けてみれば戦いとかで盛り上がっていくタイプとは異なり、人物の内面を重視して描いた成長物語でした。十二国記のくせに、焦点を当てられてるのはあくまで個人の物語になってます。
それでこの作品、いくつかの章に分かれているのですが、それらの前半部にやたら陰鬱系の話が多いんです。物語の掴みの部分からいきなり暗い話を展開してくるとはねえ…この時点で見るのに疲れてしまう人もきっといますよ。まずは、一般視聴者の心をガッツリ掴むようなヒロイックファンタジー的な見所が必要だったのでは?とも思えました。
あと、世界観を構築するための専門用語がやたら多くって、そこんところも取っ付きにくい空気を漂わせているかもしれません。ぶっちゃけ、人名とか用語とかがかなり分かりづらいよ。
しかし、段々この作品の雰囲気に慣れてきて、描かんとしているものが見えてくると、それなりの面白味を感じられるようになります。そう、この作品は各章ごとのテーマというものがかなりしっかりと描かれてるんです。迷いを持つキャラ達が、それぞれに答えを見つけていくところはなかなか良かったと思いますね。
まあ、メインキャラはずっと悩んでいるばかりなので、章の終盤になるまで盛り上がりのある展開は乏しいようにも思いますが、一つ一つの話の積み重ねがなかなか興味深く、いつの間にか物語に引き込まれているんですよね。さすが人気シリーズのアニメ化だけあって、シナリオはよく出来ていると思いました。
けど欲を言えば、せっかくこんなご大層な世界観が用意されてるわけですから、それに見合ったような激しい展開が欲しかったという気持ちもあります。もっと12国の関係性をドラマの前面にピックアップし、そこから各国の間に生じる様々なもつれ・衝突を描いていき、多くの人々を巻き込んだ争いにまで発展していく様を…って、そんなことしたら到底4クールで終わるわけ無いですけど(汗)
原作などでは、この先にそんな展開になる予定とかあるのかな?



主な登場人物と名言(?)

・中嶋 陽子 「もう…逃げない」
 真面目で気の弱い女子高生。しかし、実は異世界にある慶(けい)国の王でしたって設定です。突如連れてこられた異世界に対応できず、一時は人間不信に陥っていたようですが、楽俊との出会いを通じて己の中の迷いを断ち切り、人間として大きく成長していきます。けど、王になってからも問題は山積み…まったく悩みと苦労が耐えませんよ。

・景麒(けいき) 「あなたは私の主」
 慶国の麒麟。無愛想で真面目過ぎる。陽子を主として迎え、異世界へと連れて行くのですが、その後バッタリと姿を消します。つーわけで、見知らぬ土地に放り出された陽子達は色々苦労する羽目になるのでした。一体こいつは何処で何をやってるのかと思いきや、あっさりと敵に捕まってたのです。おいおい…(汗)

・杉本 優香 「ここはそう…私の世界」
 いじめられっこ。現状に不満を持っているようで、ファンタジーの世界に強い憧れを持っている様子。彼女の場合、異世界に迷い込んだことをとても喜んでいて、そっちに行ってからは存分にはっちゃけぶりを見せてくれましたね。ぶっちゃけ、本性はとっても痛い子でしたw 陽子を亡き者にしようとする敵の口車に上手いこと乗せられて、彼女と対立することになります。ふしぎ遊戯もそうだけど、異世界で友達と対立関係になるのは基本なの?

・浅野 郁也 「待っていたんだ、フラグが立つのを」
 杉本の彼氏。陽子、杉本と共に異世界へ流されますが、途中で消息不明に…。再登場した時は、もう壊れかけでしたね。ある意味最もかわいそうなキャラの一人…

・楽俊(らくしゅん) 「おいらをちょっとだけ信用しねえか?」
 十二国記世界の超カウンセラー(笑)。心の荒んだ人間を立ち直らせることにかけては天下一品、もうこいつが出てくるだけで心癒されますね。半獣人ということで普段の姿はねずみなんですが、それがまた何か愛らしくて良いです。けど、こいつ自身も差別を受けていますが、そんなことにはへこたれずにがんばっているのです。また、陽子にとっては最高の友人でもあります。ある意味、彼女と恋でも芽生えてもおかしくない感じですが、半獣人だしやっぱそれは許されないものなのかな?一応、人間バージョンへの変身も可能になってます。

・尚隆(しょうりゅう) 「国を治めるというのは、実は辛い」
 雁(えん)国の王。元は瀬戸内の殿様だったそうですが、六太に見出されて雁国の王になります。結構ちゃらんぽらんな性格みたいですが、長いこと王をやってるだけあってさすがの貫禄も見せてくれます。

・六太 「お前…血の臭いがする」
 雁国の麒麟。なんか地上と異世界をよく行ったりきたりしてるみたいだし、町の中もよくぶらついてるような印象です。延王がもう十分に頼れるくらいの王様なんで、こいつはぶっちゃけ暇なのかな…?

・泰麒(たいき) 「麒麟に生まれたことを、後悔されることはありませんか?」
 戴(たい)国の黒麒麟。生まれる前に日本に流されたため、そこで10年を過ごすことになります。その後、蓬山へと戻ってきて戴の王を選ぶことになるのですが、現在は行方不明中…一体何故?こいつが主役の「風の海 迷宮の岸」でその理由が明かされるものと思いきや、こちらが一番知りたかった部分は上手いことスルーされてしまいました。くそ〜ぶっちゃけ、今回やった話の内容は失踪したこととまるで関係ないじゃん!

・驍宗(ぎょうそう) 「お前は小さいのに見る目がある」
 後の戴王。何やかんやの末に泰麒にも認められる王になるのですが、現在はこいつも行方不明…だから、戴国で一体何が起こったんだってば!

・鈴 「不幸なのはあたしだ…あたしが一番不幸なんだ」
 異世界へと流されてきた少女。言葉が通じずに苦しい思いをしていたところを仙人の梨耀(りよう)に拾われ、彼女自身も仙籍に入ります。しかし、そこでも酷くこき使われ(しかも100年間)、まさに典型的な不幸少女と言えますね。自分と同じ境遇でありながら王になった陽子に憧れを持ち、いつか彼女が助けてくれるのだと勝手に夢見ています。

・祥瓊(しょうけい) 「だって本当に知らなかったんだもの!」
 芳国のお姫様としてずっと贅沢な暮らしを送ってましたが、王である父親が民に対して圧政を強いていたため、謀反が起こって一気に没落。まあ、父親のしていたことについて彼女は何も知らなかったのですが、民からすれば無知も罪ということでしょうか…以降は一般市民として暮らすことになります。しかし、かつての優雅な生活が忘れられず、自分と同年代でありながら王になった陽子に対して嫉妬を覚えます。



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