天保異聞 妖奇士(あやかしあやし)
2006年 全25話


評価 70点

作品解説


妖夷(ようい)と呼ばれる異界の化け物が各地に現れ始める。蛮社改所(ばんしゃあらためしょ)と呼ばれる組織の奇士(あやし)達は、特殊な力を持ってこの妖夷と戦うのだった。


なんでこれが打ち切りなんだ!?
まあ、土6でやるには思いっきり子供受けしにくそうな感じですし、これまでの同局の作品のように際立った美男子萌えも無い(主人公中年だしw)ので、女性層からの食いつきも悪いです。故に、充実した視聴者層が確保出来ず、実績ある枠からすればイマイチの視聴率・売り上げになってしまったのでしょう。
しかし、私から見れば話自体は決して悪いものではなく、それなりに見所のある作品だったと思いますよ。ただ、あの夕方の時間帯には合ってなかったということなんだと思います。おそらく、土6枠でなければそこまで叩かれることもなかったのではないでしょうか?
内容的には時代ものというジャンルであり、何か色々と冒険的な設定が目に付きました。
まず、蛮社改所の連中の戦う動機が世の平和のため…というのも間違いじゃあないんですが、そのうちのほんの数%ほどは妖夷の肉が喰いたいがため…って気持ちもあるところがなかなか面白いです。
見かけは気持ち悪い妖夷ですが、その肉はかなり上手いらしく、これ喰ったら他のものなんて食べられなくなっちゃうくらい中毒性が強いんらしいです。で、敵を倒した後は皆でワイワイ化け物の肉を会食…スゲー設定だ!これだから妖夷退治はやめられない〜ってねw
そして、妖夷と人の間に出来た子供…出来損ないのこいつらは、人間の欲によって様々に利用されています。兵士として戦わされたり、人間に食われたり…ほんととんでもない設定ですよ、人間からあんなエグイ生き物が生まれるなんて。
…等々、面白い設定も幾つかあり、モノの名を示す「漢字」というものに注目したところもなかなか興味深い。しかし、TVでは打ち切りということで終了してしまいました。元々が4クール予定ということで、終盤は驚愕の真事実〜みたいのも唐突に飛び出してきて実に慌ただしかったのですが、一応区切りのいいところまでは何とかやり遂げたという感じです。
そして、最終話は幕間…ということで、なんとOVAに続くそうです。そりゃあ、これで終わったら勿体無いからね。



主な登場人物と名言(?)

・竜導 往壓(りゅうどう ゆきあつ) 「それでも人は、この世で生きていくんだ」
 中年主人公。子供の頃に異界へ迷い込んだことがあり、そこからずっと逃げ回っていました。また、異界に行ったことで特殊な能力が身に付き、そのモノが持つ漢字を具現化して力を引き出すことが出来ます。お節介の世話焼きで、困ってる人がいたらどうしても手を差し伸べたがるタイプですが、昔はかなりの駄目人間みたいでしたね。つか、最低の部類に入るかもしれません。こんな主人公初めてだよ…(汗)

・小笠原 放三郎 「私には、私の使命がある」
 蛮社改所のリーダー。見るからに融通の効かなそうな典型的なお侍さんです。つーわけで、身分とかそういったものには逆らえず、上からの圧力なんかには簡単に屈してしまう…かに見えましたが、ここぞというときは我を通すところもあります。さすがは、一応組織の上に立つ人間ですね。ただの若輩者ではなかったぜぃ。あと、往壓が引き出した漢字の意味を説明してくれる解説役でもあります。

・宰蔵(さいぞう) 「男ってのは、いくつになっても女の前で格好をつけたがる」
 いっちょまえなこと言ってますが、女としてはまだまだガキんちょです。てゆ〜か、本人は男のナリをしてるんですけどね。特技は早着替え。一瞬で巫女姿に変身します。そして、そこから華麗なフィギュアスケート(?)をご披露して、妖夷すら惹き付けることが出来ます。なんか、後半からはこいつだけデフォルメ絵が目立ってましたね。基本的に真面目な奴ばっかなので、強引にギャグキャラ要員とされたか?

・江戸 元閥(えど げんばつ) 「わしは男だぜ」
 女装趣味の神主さん。いい味のキャラなんですが、専用エピソードも無くって大して目立ってない〜とか思っていたら、終盤になって激しく動き出しましたよ。

・アビ 「俺は、あんたを信じてるよ」
 槍投げ選手w 「山の民」という普通の人間とはあまり関わり合いにならない一族だったのですが、姉が妖夷にさらわれて、それを探すために町へやってきたようです。普段はネコのノミ取りをやってるご様子。

・アトル(おうま) 「あなたも、私達を異なるものと見ている
 異人の娘。己の居場所を奪われ、愛馬と共に日本にやってきます。それで往壓が居場所を与えてくれて(…といっても吉原。まあ客は取らないということですけど)、以来彼に信頼を寄せているようです。しかし、自分に言い寄ってくる狂斎ともそこそこ良さげな感じ?なんかよく一緒に居ますしね。まあ普通に考えれば、13歳のアトルと40近い往壓ってのはなかなかヤバイ設定ですからw

・雲七 「ずっと一緒だと言ったじゃありませんか」
 往壓の友達。一見ただの町人ぽいですが、神出鬼没で何処か怪しい雰囲気漂ってます。それもそのはず、どうも往壓にしか姿が見えてないようです。一体何者でしょうか…?

・河鍋 狂斎(かわなべ きょうさい) 「何もかもよく感じなければ、真は描けない」
 2クール目から登場の見習い絵師。女性層獲得のためのテコ入れキャラか?過去に異界をちょっぴり見たことがあるようで、偶然知った奇士に興味を持ち、彼らによく付きまとってます。注意力が鋭く、なかなか色んなことに目ざとい。アトルのことがお気に入りのようです。

・鳥居 耀蔵(とりい ようぞう) 「あぁぁぁぁりえぬ。ありえぬことだ。んはぁ!」
 CV若本さん。これだけでもうインパクト十分です。何やら独自の思惑ありげなご様子…一体何を企んでいるのやら?って感じで見てました。つか、この御方は終盤がイカス!なかなか意外性のあるキャラでした。それにお茶目な面も…南町奉行様なのですが、北町奉行である遠山の金さんの真似なんてしてましたよ。

・朱松 「時はきた!」
 西の者と呼ばれる、謎の陰陽師集団のリーダー格。左頬に十字傷がありますが、某るろうにではございませんのでw



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