新世界より
2012年 全25話


評価 70点

作品解説

 「新世界より」 一 [Blu-ray]
ポニーキャニオン (2012-11-30)
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1000年後の日本…人類は「呪力」と呼ばれるサイコキネシスを身に着けていた。12歳の少女・渡辺早季は、同級生たちと町の外へ出かけた際に、1000年前の文明が崩壊した理由と、現在に至るまでの血塗られた歴史を知ってしまうのだった。


全話通して見た結論としては、ストーリー、設定は良く出来ていたと思います。かなり独特の世界観であり、最初は色々な設定や言葉の意味が理解し辛いところもあって取っ付き難かったのですが、散りばめられた伏線が回収された後半の展開には、ああこういう風に持ってきたかったから今までの話があったのか…と素直に感心させられました。さすが有名小説を原作としているだけあって、話の展開は非常に良くできていましたね。
ただ、こいつがアニメとして成功だったかどうかと問われると…正直、微妙です。無駄にキャラクターの顔アップを多用して何が起きているのかよく分からない回があったり、次章に入った途端いきなり同性愛が流行していて違和感バリバリだったり、とりあえず色々と見せ方が悪いところが目に付きました。私自身も前半の段階ではほとんど魅力を感じていませんでしたので、途中で切っちゃう人がいそうなのが勿体無いところですね。前半の存在意義というのは後半のための準備段階であり、そこまでの魅力というのは薄いですから。
物語は3部構成となっており、主人公・早季が12歳の時、14歳の時、26歳の時のエピソードが描かれています。12歳のエピソードでは、この作品の世界観が詰め込み式で語られていくため、なかなか理解するのが大変でしたね。14歳のエピソードでは次のエピソードで重要となる大きな伏線が張られ、最後の26歳のエピソードで怒涛の展開が繰り広げられます。なので、最終エピソードが始まる17話までは(結構長いですが)我慢なんですよね。
設定としては、「呪力」「愧死機構(きしきこう)」「悪鬼」…この三つの要素がいい味出してましたね。人間が「呪力」というサイコキネシスを得たことで簡単に殺人が出来る世の中になったのですが、「愧死機構」という同族への攻撃抑制が遺伝子に組み込まれることで安定した社会が形成できるようになります。しかし、「愧死機構」を持たない突然変異…「悪鬼」が生まれることで社会は崩壊するので、「悪鬼」の排除を目的としたシステムが構築されていきます。ここはこの作品の根底にある部分なんですが、何事にも綻びはあるわけで…このシステムの綻びから生じる惨劇こそが見所でしたね。
ということで、話自体は面白かったのですが、アニメとしての完成度を求める人にはもうちょっと評価低くなりそうな作品ではあります。原作は読んだことないんですが、もう少し分かり易いのかな?そちらも気になりますね。



主な登場人物と名言(?)

・渡辺 早季 「私達は愧死するべきだった」
 呪力を発現させた者が通う「全人学級」の新入生。同年代の中では呪力の発現が遅かったため、他の子よりも入学が一足遅れたようです。入学後は幼馴染達と同じ班に所属し、呪力のトレーニングを行っていくのですが…ふとしたことで、禁忌とされる過去の歴史に触れてしまい、バケネズミ達の抗争に巻き込まれていくのでした。

・朝比奈 覚 「せめて俺を道連れにできたから、気が晴れた?」
 悪戯好きで明け透けな性格の少年。12歳と26歳の時のこいつは頼りになっていい奴なんですが、14歳の時のこいつはおかしい!若気の至り?中二病?ともかくおかしい!キモイ!w 12歳からの2年間の間に一体何があった??

・青沼 瞬 「全ての問題は人間の心からくるんだよ
 聡明で知的好奇心の強い大人びた少年。呪力の成績も飛び抜けていて、将来を期待されています。しかし、その強すぎる力は悲劇を生むのでした。

・秋月 真理亜 「世の中には、知らない方がいいことって多分いっぱいあるんだと思う」
 早季の親友。つか、途中親友を越えた関係性を見せてくれたりもするんですが…(百合万歳w)。ちなみにこの子に関しては、序盤で「もし真理亜がこの世に生まれて来なかったら、結果的にあれほど大勢の人が命を落とすこともなかったのに…」なんて超不穏なナレーションが流れマス(汗)。一体何の伏線なのかとビクビクしてましたw

・伊東 守 「そんな話、絶対にしたらダメなんだって!」
 引っ込み思案な性格の少年。元々心が弱いため、追い詰められた状況には耐えれません。作中では真理亜のことばかりピックアップされていますが、私が思うにこいつこそこの世に生まれて来なかったら結果的にあれほど大勢の人が命を落とすこともなかったのに…www

・スクィーラ 「スクィーラは臆病者です。虫けらにも等しい。クソムシの幼虫にもつばを吐きかけられるような存在です。肥だめに蠢くウジ虫にも劣る」
 塩屋虻コロニーの奏上役を務めているバケネズミ。早季達人間を神様と呼び、忠誠を誓っているように見えますが…どうも最初から胡散臭いところがチラホラと見え隠れする奴でしたね。

・奇狼丸 「我々の種族は、心臓が鼓動を止めるまさにその瞬間まで、逆転する方策を探し求めます」
 バケネズミの中で最大の勢力を誇る大雀蜂コロニーの総司令官。武闘派で自らが先頭に立って部隊を率います。スクィーラと同じく、人間には忠誠を誓っているように見えます。



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