精霊の守り人
2007年 全26話


評価 85点

作品解説

 精霊の守り人 Blu-ray BOX [初回限定版]
ジェネオン・ユニバーサル (2012-09-05)
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短槍使いの女用心棒・バルサは、川に流された新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムを助ける。その後、宮廷に連れて行かれた彼女は、ある重大な仕事を依頼されるのだった。


プロダクションI.G製作なので、作画レベルが高いのは今更言うまでもなし。世界観を表現する映像の美しさはもう極上で、凄く雰囲気が出ていましたよ。また、戦闘シーンの出来もかなりのもので、よく動いていて迫力がありましたね。そこいらで量産されている深夜アニメとは格の違うクオリティです。内容の方も破綻無く綺麗にまとまっており、非常に完成度の高い作品だと思いました。
激しかった前半から一転し、途中緩い展開が続いて話があまり進んでいかないのですが、そこは無駄になっておらず、中だるみもしていません。この独特の世界観と、チャグムが市井に馴染んでいく様子が丁寧に描かれており、予想以上に楽しめるものでした。そして、後半はファンタジー要素を大きく取り入れて、また違った魅力というのを見せてくれます。
特にこの作品は人間ドラマが秀逸でした。バルサとチャグムの擬似家族生活から生まれる絆、チャグムの成長、バルサの過去と用心棒を行う訳など、非常に見応えのあるシナリオが用意されているのです。意外と泣けるところもありますしね。
けどまあ、あまりオタク受けする類の作品ではないんでしょう。時代ものという取っ付き難さがあるし、萌えも笑いも無く、真面目一辺倒のお堅い作品だから、一見すると地味な印象を持つのかもしれません。それ故に、今時の作品の中では話題性が低くなっていたんだと思います。そういう意味では、アニメファンの中でも玄人好みな作品になってしまうのかな?
こういうのこそ、世界に出しても恥ずかしくないアニメだと思うんですけどね。こんな良作のDVDがあんまり売れてないなんて、日本オワッテルゾ…(笑)



主な登場人物と名言(?)

・バルサ 「私はお前を必ず守る!」
 30歳の女主人公(珍しい…)。昔、ある事情から8人の大切な人の命を奪ってしまったらしく、それと対等の命を救うまで用心棒を続けているらしいです。で、チャグム君がその8人目に当たるみたいですね。そういうこともあり、命に対しての重みというのをよく分かっていて、用心棒稼業という危険な仕事の中でも不殺を貫いています。

・チャグム 「俺は、精霊の守り人だから」
 新ヨゴ皇国の第二皇子。水妖に憑かれたため、穢れを嫌う帝(父親)によって暗殺を企てられます。それで、用心棒となったバルサと共に宮廷から逃れて、町に潜むことになるのでした。皇子という身分から一転して追われる立場…まだ幼き身の上ながら、様々な試練、色々な経験を通じて大きく成長していくのでした。

・タンダ 「いつ俺達が迷惑してるって言った?」
 バルサの幼馴染。小さい頃から無茶ばかりやってた彼女の怪我を診ていたそうで、薬の知識や傷の縫合が上達してらしいです。また、多少の呪術も使えるようですね。勝手なことばかりやってるバルサのことを、健気に待ち続けるいい旦那…というか妻w

・トロガイ 「覚えときな。綺麗な花には毒香があるってことをね」
 タンダの師匠。優秀な呪術師であり、何かと空気の読める婆さんです。様々な知識と、「ナユグ」と呼ばれる精霊達の世界へ通じる力を持っており、精霊に対する知識を持っていないバルサ達からは頼りにされていました。

・トーヤ 「バルサ姉さんの頼みなら、例え火の中水の中なんだからさ」
 頼まれ屋の少年。読んで字の如く、客から頼まれたことは幅広く何でもやってます。昔、バルサに命を助けられたことがあるらしく、彼女の頼みに対しては特別がんばってくれています。

・サヤ 「今まで、お世話になりました」
 トーヤが引き取り、一緒に暮らしている少女。頼まれ屋の手伝いをやっています。どうやら、トーヤに好意を抱いているようですね。

・シュガ 「私は…何もなすことが出来なかった」
 チャグムの教育係を務める星読博士。チャグム失踪後、自分の無力さを嘆いて水妖について独自に調査を行っていきます。王の命というのを当然重要視していますが、それだけでなく自分の感情で物事を判断するようなところもしばしば見受けられました。

・ガカイ 「お前には失望した」
 サグムの教育係を務める星読博士。自分より年下でありながら、聖導師から目を掛けられる優秀なシュガのことが気に喰わないようです。そのことがあからさまに態度に出ていました。

・サグム 「少し、心がくたびれているのかもしれぬ」
 新ヨゴ皇国の第一皇子。宮廷ものによくあるような陰湿なタイプではなく、チャグムにとっての良き兄であり、いつも弟のことを気に掛けていました。ただ、この人自身は体が弱く、日々の公務に疲れを感じているようです。

・帝 「生まれて初めてじゃ。余の命が遂げられなかったのは」
 新ヨゴ皇国の帝。この人は…あんまり好きじゃないですね。特に迷いもなく、息子の暗殺を部下たちに命令。それが帝としての務めだとしても、情が無さ過ぎますよ。



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