ザ・コクピット
1993年 全3話


評価 75点

作品解説

 TOKUMA Anime Collection『ザ・コックピット』 [DVD]
徳間書店 (2007-02-23)
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本作は30分の短編が3つということで、話自体は非常に短いのですが、自分の中に残る印象は大きかったです。それは何故かというと、リアルな世界観の下で作られた作品ということが大きいのだと思いますね。
まず、こういう短い作品だと描写不足が指摘に挙がることも多いと思いますが、この作品ではそんなことはありませんでした。人物描写については何の問題も無く、キャラクターが抱え持つ葛藤や悲壮感を上手く描けていましたし、世界観については先述したようにリアルと近いので、くどくど細かい描写が無くってもいきなり物語に入っていけるんですよね。
そのリアルな世界観とは「戦争」…この作品で描かれているそれは、普段アニメでよく見るようなSFではなく、真実の戦争がありました。原作者(松本零士氏)が戦争を体験した世代であるからこそ、何か伝わってくるものがあるんですよね。「はだしのゲン」とか「火垂るの墓」も同系列の作品になると思いますが、こちらでは戦場で戦う兵士そのものをピックアップしており、死地に赴く兵士の心境という部分が興味深かったです。
まあ、テーマ性が強く、エンターテイメント性のある作品では無いと思いますが、例えばガンダムで一番好きな作品はポケットの中の戦争、そしてイグルーシリーズがお気に入りだという人ならバッチリ合うと思いますよ。



主な登場人物と名言(?)

・ラインダース 「人間は銃剣で渡り合うところくらいで、止めておくべきだったと思うよ」
 第1話に登場。空戦中に愛機を捨てて脱出し、卑怯者の烙印を押されたドイツ空軍の元エースパイロット。

・メルヘンナー 「背中に羽があれば、何処にでも行けるのに…」
 第1話に登場。ラインダースの元恋人。久々に再会する二人でしたが、彼女には悲痛な任務が課せられていました。

・野上少尉 「自分の棺桶だから、よく眺めておきたい」
 第2話に登場。桜花という特攻機のパイロットですが、任務を果たせぬまま帰還することになります。

・古代一等兵 「それが男だよな」
 第3話に登場。宇都宮一等兵を助けて、彼と共に飛行場に向かいますが、その目的は…?

・宇都宮一等兵 「自分が死ぬ時は、こいつも死にます」
 第3話に登場。オートバイをこよなく愛す少年兵。



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