ノエイン もうひとりの君へ
2005年 全24話


評価 75点

作品解説

 ノエイン もうひとりの君へ  Blu-ray BOX
メディアファクトリー (2011-08-24)
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ある日、ハルカは青く光る雪に包まれた男を目撃する。ハルカのことを捕らえようとする竜騎兵カラス…彼の正体は、未来世界からやってきた幼馴染ユウの15年後の姿であった。


ロボット等は出てきませんが、これぞSF!というような骨太設定の作品を久しぶりに見た気がします。
この作品の見所は、未来(別時空)の自分自身がやってきて、別の可能性の過去と相対するってところにあります。かつての自分や仲間達を見る竜騎兵、そして未来の自分を見るユウ達、お互いの姿を目にして彼らは何を思うか?ってところが興味深いところでしたねぇ。
そして、これを見ていて一番気になったのが作画ですかね。この作品における作画の評価は千差万別。なにせ、毎回わざと(?)タッチを変えてくるという手法を使ってますから。まあ、アクションシーンなど非常によく動いて凄いなと思わされる部分もあるのですが、こうコロコロと顔が変わっちゃあどうも落ち着かない…という人もいるでしょう。この辺は個人の好み次第かな?
ところで、この作品では過去と未来が交じり合ったり、量子力学が絡んできたりするので、設定面を深く考察していけばなかなか小難しい話になっていきます。 とりあえず、シュレーディンガーの猫という単語にピンときた人は視聴してみるのもいいかもしれません。作中では、この論理に従った世界観が構築されているので、多少なりとも理解があった方がすんなりと入り込んでいけるでしょう。
まあ、深く考えながら見ていると、出口の無い論理迷宮に迷い込むことになるので、視聴の際は気楽にして難解なところは適当に流すのがいいかもしれませんね。小難しいことを考えずに見たままのストーリーを楽しめば、普通に面白い作品だと思いますから。

以下、作中で重要な設定を抽出。ネタバレありますのでご注意を。



・ハルカ=龍のトルクとは、全ての時空をたった一つの未来に収束出来る“観測者”のこと(コペンハーゲン解釈に基づく)
・カラスのいる「ラクリマ時空」、ノエインのいる「シャングリラ時空」は確定された世界(未来)ではなく、不安定なままで重ね合わせ状態にある(ハルカが観測することによって収束される)
・他の時空にもハルカはいるが“観測者”としての能力は無い。また、彼女らは全て非業の死を遂げるらしい(現代ハルカが唯一絶対の観測者として認識される条件の一つ?)
・トビによると、「誰かが認識することで、その存在が確定される」らしいので、人間の意思が量子の状態を決める“意思説”も取り入れていると思われる(ただし、意思説自体には理論的裏付けがなく、実験による確認もされていない)



主な登場人物と名言(?)

・上乃木ハルカ 「例え未来で不幸に出会っても、私達は負けない」
 「龍のトルク」と呼ばれる少女。時空に影響を与える特殊な力を持っており、その力を必要とする竜騎兵達に狙われています。幼馴染のユウは気になる存在で、その15年後の姿であるカラスにも好意のようなものを示していました。

・後藤ユウ 「そんなにあいつが信用できるのかよ」
 ハルカの幼馴染。母親との関係が上手くいっておらず、ハルカと共に家出を試みますが、その時カラス達竜騎兵に出会って戦いに巻き込まれていきます。自分の未来の姿であるカラスのことを嫌っていますが、どうやらハルカが彼に懐いているのが気にくわないみたいですね。う〜ん、若いなw

・藤原イサミ 「ありえねー」
 ユウの親友。母親とのことでふさぎこんでしまったユウをいつも気に掛けてる友達思いのいい奴です。彼の友情パワーときたら、マッスル・ドッキングも可能なくらいですよ(笑)

・長谷部アイ 「あんたはいつもそうだ。自分さえ良ければいいのよね!」
 ハルカの友人。イサミとはよくやりあっていますが、本当は彼のことが好きだったりします。また、ちょっとした誤解でハルカと大喧嘩をすることも…結構気の強い感じですからね。

・向井ミホ 「それは浮遊霊よ!もし話し掛けられたら、霊界に引きずり込まれちゃうのよ」
 何でも怪奇現象と結びつけてしまう不思議大好き少女…くらいの印象でしたが、なんとあのアトリを手懐けるほどのツワモノでしたw

・カラス 「お前が守れ、ユウ…強くなれ」
 竜騎兵の一人で、ユウの15年後の姿。初めはハルカのことを狙っていましたが、自分が失ってしまった亡きハルカの面影を彼女に重ねるようになり、この時空のハルカを守ろうと決意をします。しかし、それは仲間の竜騎兵達を裏切るということに繋がるのでした。ちなみに、かつての自分(ユウ)の情けないところを見て、イラつくこともしばしばありました。お互いに、自分自身のことを嫌ってるってわけですね。

・フクロウ 「今度会う時が最後かもしれねえな…」
 竜騎兵の一人で、イサミの未来の姿。15年後でも、誰よりもカラスのことを理解している親友です。しかし、カラスがハルカを守ると決めたことから、二人は対立の道へと歩みだすのでした。彼とカラスとの戦いは見ていて辛いものでしたね。つか、ここの戦いの描写が凄すぎてびびった(汗)

・アトリ 「未来なんて分かんねえからおもしれえんだろ」
 竜騎兵の一人、残忍な性格でかなり壊れ気味の人です。不必要なくらいにカラスのことを敵対視しており、事あるごとに彼と衝突していました。まあ、初めのうちはキレたキャラだなあ…という印象しかなかったのですが、なんか後半での活躍がやたらとカッコ良かったり。

・トビ 「これは必然だよ…時空のね」
 竜騎兵の一人、戦闘は不得意なようで主に情報収集といった面で活躍していました。こういうちょっと難解設定の物語では、彼のような解説担当者が必要不可欠ですね。

・クイナ 「必要とされないものは消えゆく運命なのだ」
 竜騎兵の司令官。何故か現代世界とは相性が悪いみたいで、こいつだけいつも転移するごとに体の一部を持ってかれちゃってます。なんか別世界の扉を開けるためには通行料が必要〜みたいな感じで、等価交換が原則のあの作品を思い出してしまいました。

・ノエイン 「私はノエイン…全てを認識する者」
 ラクリマと対立するシャングリラ時空界の謎の仮面。彼もハルカを狙っています。この人の正体については、ああそう来たかーって感じでした。たしかにこの設定、世界観ならありえない話でもないのですが、完全に油断してましたね。



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