冥王計画ゼオライマー
1983年 全4話


評価 65点

作品解説


秘密結社・鉄甲龍(ハウ・ドラゴン)は、15年の時を経て世界征服へと乗り出した。日本政府秘密機関ラスト・ガーディアンは、それに対抗するために天のゼオライマーを起動させる。


8体の巨大ロボがぶつかり合うバトルチックアニメ。
まあ、尺が短いんで展開はかなり早く、気が付いたら終わっていた…みたいな感じなのですが、設定的にはかなりシビアで、なかなかに興味深いものがありました。
詳しくはネタバレになるから言えませんが、この作品はある意味とんでもないものですよ。全ては、死んだ木原マサキが考えたプロジェクトゼオライマーというものに基づいているのですが、この計画の凄まじいこと…どう転んだとしても、木原マサキの思惑どうりになるように仕組まれているのです。
作中では、秋津マサトと鉄甲龍との戦いという構図が描かれているのですが、両者共に彼の犠牲者と言える立場にあるんですよね。木原マサキの怨念は、マサトと鉄甲龍の面々を何処までも苦しめ続けるのです。故に、ラストのあの展開も、木原マサキという人物に抵抗するための唯一の手段であり、そうする他は無いということなのでしょう。
なんか、スーパーロボットものだというのに、燃えるとか、熱い展開とかそういうのとは縁遠く、全体を通して悲壮感のようなものが感じられた作品ですね。ゼオライマーの圧倒的な力の前に、無情にも散って行く八卦衆の姿には何だか切ないものを覚えてしまいます。ぶっちゃけ、この作品はロボット同士の戦いよりも、この哀愁漂う人間関係こそが最大の魅力なのでしょう。
しかし、その人間ドラマを構成する素材はいいんですが、イマイチそれを見せ切れなかったかな〜という印象があります。せめて、もう少し尺があれば、それぞれの心情部分にも深く突っ込んでいけて、かなり良くなっていたようにも思えるんですよね。この話数では、どうしても若干の味気無さというものが残ってしまう出来に感じられました。



主な登場人物と名言(?)

・秋津 マサト 「僕がパイロットだって?」
 冒頭から謎の組織に捕まって牢に閉じ込められ、両親からは本当の子じゃない宣言されてしまった不幸少年。その後、自分がゼオライマーに乗るためだけに生まれたと知り苦悩することになります。よくよく考えれば、彼が心休まっていた瞬間って一度たりとも無い気がする…(汗)

・木原 マサキ 「茶番は終わりだ」
 全ての元凶である張本人。既に故人ではありますが、マサトの中の別人格として、度々現れることになります。それにしても、こいつは死ぬ前にあれだけの布石を打っておくとは…まるで抜かりが無いですね。用意周到とは、まさにこいつのための言葉だw

・氷室 美久 「ゼオライマーが覚醒するのよ」
 ゼオライマーのサブパイロットの美少女。しかし、彼女にはあるとんでもない秘密があり、後に厳密な意味でのサブパイロットではなかったと発覚。3話での美久の正体発覚シーンはショッキングでしたね〜

・沖 功(おき いさお) 「お前、人を殺せないだろ?」
 ラスト・ガーディアンの責任者。強引にマサトをゼオライマーに乗せたりして、結構酷い人だな〜って思ってたら、最後はちょっぴりいい人に見えました。

・幽羅帝(ゆうらてい) 「我らが鉄甲龍、復活の時が来た」
 鉄甲龍の長である女性。元々、ゼオライマーは彼女が乗る予定でしたが、木原マサキに持ち逃げされてしまったため、彼女には搭乗機がありません(涙)。木原マサキに強い憎しみを覚えていますが、実は彼女自身…

・耐爬(たいは) 「我が愛のために、この戦負けられん」
 風のランスターのパイロット。打倒ゼオライマーの一番手に選ばれ、愛する幽羅帝ちゃんのためにやってやるんだと決意します。まあ、出陣前に幽羅帝ちゃんとたっぷりいいことしてたみたいだから、例え戦いの中で死んだとしても、思い残すことはないでしょう。

・シ・アエン 「どちらかが突出すれば、それは連携ではない」
 火のブライストのパイロット。双子のお姉さんです。二人のチームワークというのを何よりも大切にしているのですが、妹の方があれじゃあ難しいわな…

・シ・タウ 「私は、お姉さまの盾になるつもりはないわ」
 水のガロウィンのパイロット。双子の妹です。姉のことが気に食わず、命令に逆らって勝手なことばっかしてます。どうも近親憎悪ってやつを抱いているようですね。

・葎(りつ) 「月の光の力、見るがいい!」
 月のローズセラヴィーのパイロット。仮面をしてますが、それは己の顔にコンプレックスを持ってのこと。自分をこんな顔に生み出した、パパンのことを強く恨んでます。

・ロクフェル 「お前に、この恋心まで否定させない!」
 地のディノディロスのパイロット。男勝りにも見えましたが、意外にも愛に生きる女性でした。

・祗鎗(ぎそう) 「俺はただ、お前が心配だっただけだ」
 山のバーストンのパイロット。ロクフェルに想いを寄せているのですが、彼女は塞臥を愛してるんですよね。この三角関係、もう少し何らかのドラマがあれば…

・塞臥(さいが) 「どちらにせよ、俺の敵はゼオライマー如きでは無いわ」
 雷のオムザックのパイロット。オムザックはゼオライマーにも匹敵するという触れ込みで、こいつ自身も幽羅帝すら出し抜いてしまいそうな悪者オーラを放っていたのですが…真の悪者である木原マサキの前では赤子同然でしたね。ちなみにこいつは、全裸で前も隠さずに堂々とシ姉妹のお風呂に乗り込んでいくというツワモノですw



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