空の境界
2007年 劇場版7話


評価 75点

作品解説

 劇場版「空の境界」Blu-ray Disc BOX
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少女たちの飛び降り自殺が多発する巫条ビル…両儀式は、そこで浮遊する少女たちを目撃するのだった。


劇場版でありながら2年がけで7本も公開し、尺的には実質1クールもの以上というとんでもない作品w
まあ、そうやって製作されたおかげで全編ハイクオリティを保てたので、案外これは良かったのかもしれません。作画は相当レベル高くて、背景の書き込みは丁寧、死体描写も綿密w…TVシリーズの1クールものとして作ったんじゃあ、こうはいかなかったでしょう。
それで、この作品は月姫Fateの原作で有名な奈須きのこ氏が書いた同人小説が原作です。かなり初期に書いたもので、後の作品に出てくるキャラや設定の原型となるような部分も多く見受けられます。ジャンルも同じ伝奇アクションですし、月姫やFateが好きな人ならば同じような感覚でハマっていけるでしょう。
ただ、それらとは違う独自の演出もあるわけで…この作品では時系列がバラバラになっているんです。詳細は後に記すとして、これのせいで初見では分かりにくい部分も感じるかな?まあ、内容自体にも分かりにくいところが多々あるので、時系列はそれほど関係ないのかもしれませんがw
で、何故そんなことをしているかというと、理由はよく分かりません(爆)。よくよく見ると、1章が中盤のエピソードってこと以外は、そこまで大幅な時系列のシャッフルは行っていないんですよね。むしろ、大事なことは最初と最後に前後編エピソード(殺人考察)があること…ここが肝でしょう。
どういうことかというと、最初の前編ではある謎が解かれないままで終了するんです。そこに含みを持たせたまま中盤のエピソードを消化していき、最後に後編を迎えるってところがニクイですね。ぶっちゃけ、伝奇ものであれば5章がラストでもOKだと思うのですが、先の手法を用いて7章を迎えることで本作はラブストーリーとして完成されるんです。いや、こういう構成もなかなか興味深いです。
とりあえず、評価は下記に示す各エピソードの平均点(70点)くらいにしようかな〜と思いましたが、クオリティ高いと全体的な出来栄えが良く見えて、加点したくなるんですよね。京アニ作品なんかもそうですが、やっぱ質の高い作品は得してますよ。
そういえば、この原作本の続刊「未来福音」がコミケでのみ販売されたとか。しかも、それには“あの二人”の娘が出てくるとか。……読みて〜!!


〜おまけ「各エピソードの時系列+評価」〜

順序 エピソード名 評価
1 2章/殺人考察(前) 75点
2 4章/伽藍の洞 65点
3 3章/痛覚残留 70点
4 1章/俯瞰風景 65点
5 5章/矛盾螺旋 80点
6 6章/忘却録音 60点
7 7章/殺人考察(後) 75点



主な登場人物と名言(?)

・両儀 式(りょうぎ しき) 「生きているのなら、神様だって殺してみせる」
 本作の主人公兼ヒロイン。「シキ」という名前ですが、月姫の主人公とは何の関係もありません。普段着は和服で、寒い季節になるとその上から赤いジャンパーを着るというナイスな美的センスの持ち主w 「直視の魔眼」という物体の死の線が見える能力(これも月姫の方の志貴と同じですね)を持っていますが、どの段階でこの能力に覚醒したかは本編を見て確認してください。ちなみに、ごく稀にデレてくれるハイレベルのツンデレです。

・黒桐 幹也(こくとう みきや) 「僕も弱い人間だから」
 何の能力も持たない一般人。高校時代に式にイカれてしまったが故に、あちら側の世界に足を踏み入れることになります。けどまあ、自分で望んでそっちいっちゃって、式ともそれなりに上手くやっていってるようなので問題は無いのかな?外見は月姫の志貴と酷似していて、多分こっちの式と幹也を合わせたものが、月姫の志貴の元ネタになっているんでしょう。

・蒼崎 橙子(あおざき とうこ) 「本業は魔法使いなの」
 幹也が働く「伽藍の堂」社長。人形師…ということで、精巧な人形を作ることを生業としていますが、彼女の場合は本人と寸分違わぬ人形(魂があるか無いかの差)を作り出すレベルに至ってます。まあ、本業は魔法使いということなんで、そういうことも出来るんでしょう。ちなみに、本人は“魔法使い”と言いましたが、ほんとは“魔術師”です。細かいことのように思えますが、この世界観では大きな違いなので注意を。(※魔法使い>魔術師)

・黒桐 鮮花(こくとう あざか) 「禁忌とか呼ばれるものに惹かれる性質なんだ」
 幹也の妹。見た目はまともそうですが、禁忌に憧れて兄を愛す変態ですw おそらく、その立ち位置と性格的に月姫に出てくる秋葉の元ネタキャラでしょう。魔術師見習いとして橙子の下で修行中で、発火の魔術を使うことが出来ます。

・巫条 霧絵(ふじょう きりえ) 「あなたは飛べる?」
 第一章に登場。巫条ビルを根城とする霊体?であり、少女たちの飛び降り事件に大きく関与しています。

・浅上 藤乃(あさがみ ふじの) 「あの人嫌いです」
 第三章に登場。奈須きのこ氏の作品には、いつもこういう痛々しい系の不幸少女が登場するなぁ…三章は冒頭からげんなり(汗)。基本は温厚で大人しい性格なんですが、式とは初対面からお互い嫌いあってました。その理由は…

・臙条 巴(えんじょう ともえ) 「鍵が無い家なんて、家じゃないんだ」
 第五章に登場。式と偶然知り合い、帰る場所の無かった彼は式の家に寝泊りさせてもらうようになります。本人曰く、自分は母親を殺害して逃げ出してきたと言いますが…

・荒耶 宗蓮(あらや そうれん) 「私は何も望まない」
 主に第五章に登場。様々な事件の裏で暗躍する魔術師であり、ラスボス臭を漂わせています。まあ、こいつの目的等はいまいち分かり辛かったような気がするので、気になる人は原作読んでみるのもいいかも。

・黄路 美沙夜(おうじ みさや) 「とてもよくってよ」
 第六章に登場。鮮花の通う学園の生徒会長です。この子が出てくる話(第六章)は原作と結構違う部分もあるので、叩かれるとしたらここになるでしょうね。つか、結構はしょられてる部分があったので内容分かりづらかったです。

・白純 里緒(しらずみ りお) 「俺が一番お前を分かってやれるんだから」
 主に第七章に登場。幹也の高校時代の先輩。生徒会に所属していましたが、やりたいことが見つかったと言って中途退学します。これ以上は全てネタバレになりそうなので割愛とw



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