プラネテス
2003年 全26話


評価 90点

作品解説

 プラネテス Blu-ray Box 5.1ch Surround Edition
バンダイビジュアル (2009-09-25)
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地球の衛星軌道上には宇宙のゴミ・スペースデブリが漂い、それらは様々な事故を引き起こす原因ともなっていた。デブリ屋のハチマキは仲間達と共にその回収作業をおこなうのだった。


ジャンルは宇宙が舞台のSF…ですが、ロボットでドンパチというのとは違い、主に人間ドラマ(その中でも特に夢とか愛という部分)に焦点が当てられてます。
物語前半の内容はオムニバス形式の1話完結で描かれているのですが、ちゃんとその1つ1つに盛り上がりがあり、どのエピソードに注目してみてもそこだけでちゃんと楽しめるようなつくりです。
1話1話の完成度が非常に高く、毎回ここまで盛り上がれるってのはマジで凄い!こういう形式だと中にはしょーもないエピソードとかも普通はあるもんですが、この作品に限って言えば無駄な部分なんてまるでない。全てが中身の詰まった素晴らしい出来となっています。
ただ、一つだけ気になったことも…後半の宇宙防衛戦線エピソードですが、原作ではそれほど大きな扱いではなかったこの話が、意外にもアニメ版ではラストを飾るエピソードとなり、唐突にこれまでとは一線を画すような怒涛の展開が繰り広げられました。
まあ、物語としては確かに凄く盛り上がったんですが、個人的にはこのような展開を持ってきてほしくなかったという気持ちも若干あります。何故なら、せっかく途中までは宇宙のことがもっと好きになれるような心に響く作品だったのに、結局は他のSFと同じように戦いメイン…ぶっちゃけコロニー落としかよ!って感じがしたからです。田名部流に言うならば、愛が無い展開だろって。
別にこれが悪いってわけではないんですけど、この作品をここまで見てきて、宇宙というものにさらなる想いを馳せることが出来た自分としては、こういう争いの中で人がガンガン死んでいく展開を見せられることで、何処か裏切られたような気分がしてしまったのもまた事実。これまでの流れから考えても、違和感のようなものを覚えてしまいました。だから、個人的感情からくる部分で少し減点しました。
けど、面白いことには変わりは無いんで超名作クラスは変わらずということで。原作からは逸脱した部分もありますが、作品の出来そのものは非常にいいので、原作ファンもこれはこれでアリだと認めるしかないでしょうね。この内容からも色々と考えさせられる部分がありましたし。



主な登場人物と名言(?)

・星野 八郎太(ハチマキ) 「夢を叶えるって言ったってなぁ…出来ることと出来ないことがあるんだよぉ!」
 ハチマキがトレードマークの主人公。新人の田名部とは、意見の対立からよく言い合いをしていました。少し不真面目にも見えますがやる時は結構やる男で、船外活動員としての能力は高いです。マイ宇宙船獲得構想ノートなるものを書いて、宇宙船への夢を持ち続けながらも、現実の状況を変化させるような努力は行えてはいません。

・田名部 愛 「愛があれば大丈夫です!
 デブリ課の新入社員。思い込んだら一直線の激しく熱血入った少女です。常に愛を唱えているのですが、他の人達(主にハチマキ)からは呆れられ気味。確かに、言ってることは熱いんですが、その主張はクレアの言うように甘ちゃんの戯言に聞こえる部分もあるんですよね。

・フィー・カーマイケル 「皆、生きてるって素晴らしいね」
 デブリ課の頼れる姐さん。宇宙船「トイボックス」の船長をやってます。重度のヘビースモーカーであり、しばらくの間煙草が吸えないと、とってもキレちゃいます。

・ユーリ・ミハイロコフ 「秘密を抱えるのって、苦しいですよね
 ハチマキ達の同僚。問題児の多いデブリ課の中でも理知的で大人な人物です。彼がデブリ屋を続けるのは、ある理由がありました。

・クレア・ロンド 「出世したいの」
 ハチマキと同期入社の女性管制官。出来る人物であり、自分にも他人にも厳しいといった印象です。しかし、幼い頃は貧しい国に生まれたことで様々な苦労をしていたようですね。今の地位は彼女の努力によって築き上げられたものなのです。かつてはハチマキと訳ありの仲だったようですが…

・カオ・チェンシン 「ささやかな復讐さ。それくらい許されるだろ」
 ハチマキの同期の一人。その中でも出生組で、宇宙旅客機の副操縦士にまで出世します。田名部のことが気になっているようで、彼女にアプローチをかけてました。非の打ち所の無い好青年に見えますが、お坊ちゃんは精神的に意外と脆い面もあるようで。

・リュシー・アスカム 「あんたの目からねえ、恋愛光線が出てるのよ」
 田名部の同期。チェンシンにラブなので、ハチマキと田名部を強引にくっつけようと画策しています。可愛い顔して、玉の輿を狙うしたたかな牝ですw

・ハキム・アシュミード 「友達ごっこができるほど宇宙は甘く無いだろ」
 連合の軌道保安庁隊員。ハチマキと同様にギガントを師と仰ぐ兄弟弟子であり、彼のライバルのような存在です。非常に優秀で頼れる人物であり、ハチマキと共に木星往還船フォンブラウン号の選抜試験を受けるのですが、その試験の途中で…

・ウェルナー・ロックスミス 「私が宇宙船以外何一つ愛せないという逸材だからさ」
 フォンブラウン号の開発責任者。大事故が起こって多くの人間が死んでも、ケロリとして物怖じしないという倫理観には欠ける男ですが、ある意味これくらいの奴じゃないと偉業は成し遂げられないのかもしれませんね。悪人っぽいのに、その考え方にはハチマキもその親父も賛同してましたし。



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