ほしのこえ
2002年 劇場版


評価 70点

作品解説

ほしのこえ(サービスプライス版)
コミックス・ウェーブ
発売日:2006-11-17

中学三年生の長峰美加子は、国連宇宙軍のロボットのパイロットの選抜メンバーとなり、リシテア艦隊の一員として地球を発つ。ほのかな恋心を抱く友人・寺尾昇を地球に残して…


この作品で最も注目すべき点というのは、個人作成というところでしょう。新海誠さんという方が、ほぼ全てを一人で作り上げています。そういう意味では、このクオリティは驚嘆すべきものですよ。まあ、キャラ絵はかなり微妙だったんですが、背景とかはなかなか凄いです。時代は変わったんだな〜と思わされましたね。
それで内容の方なんですが、こちらも興味深いものがありました。登場人物はたったの二人…しかも、彼らが直接絡むこともほとんどありません。お互いが、現在の自分の心情を淡々と語っているだけです。初めは、アニメとしてこれはアリなの?と思いましたけど、段々二人の心情に感情移入していき、このノスタルジックな世界観に惹き込まれていくんですよね。
設定を詳しく話すと、離れ離れになった男女の超遠距離恋愛物語ということなんですが、これは距離だけでなく時間も離れちゃうんです。いわゆる、ウラシマ効果(光速で移動する物体は、時間の流れが遅くなる現象)ってやつですね。この二人の携帯電話を通じてのやりとりってのが、なかなかに切ないです。
離れ離れになった二人の連絡手段はメールだけ…しかも、美加子からのそれは届くまでに段々日数が掛かるようになります。二人の間に流れる時間は異なったものになっていき、それがお互いのキョリをさらに隔てていくんですよね。
とりあえず、切ない系物語が好きという人は一度は見てみるのをオススメします。紡ぎ出される一つ一つの言葉に、ぐっと心を鷲掴みにされるものがありますから。
まあ、短い作品なので詳しい設定・背景などは語られておらず、疑問に思うようなところもあるのですが、注目すべきは二人の『今の心境』という部分でしょうね。そこがしっかりと描けているので、個人的には文句はありません。細かい設定がどうのと言うより、これは雰囲気がとてもいい作品なんで、そこを楽しむのが正しい見方だと思います。
個人的な不満点を挙げるとするなら、ラストを締めくくるための何かが欲しかったというところでしょうか。最後にどーんと盛り上がって、感動出来るものがあればよかったんですけどね。せめてあと10分…いや、5分でもエピローグ的なものがあったらなあ。



主な登場人物と名言(?)

・長峰 美加子 「私達は、宇宙と地上に引き裂かれる恋人みたいだね」
 中学三年生。国連宇宙軍の選抜メンバーとして宇宙艦リシテアに乗り込み、大型機動マシン・トレーサーのオペレーターとなります。一体どういう経緯から、彼女はそんなエリートコースに乗ったんだろうね?地球の友人である昇とはメールでやりとりを行っていますが、今のところそれがあちらとの唯一の繋がりという感じです。何故か、いつまでも(ロボットに乗る時さえ)学校の制服を着てますが、そこんところは無視しておきましょうw

・寺尾 昇 「あの日に決めた目標だけは、今も変わっていない
 美加子とは中学校時代に仲が良かったクラスメイト。美加子からのメールを待ち続けるのですが、それも到着が遅れるようになってしまい、段々待つことに疲れていったようにも見えました。ここで、こいつがもし他に彼女をつくったとして誰に責められようか!?だって、メールが到着するのは8年後ですよ。しかも、2人は付き合ってるってわけではないですからねえ。



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