ある特定の作品における、原作とそのアニメ版…両者の関係というのは、なかなか複雑なものがあると思います。 この作品の原作は好きだけど、アニメになるとちょっと…っていう場合も多々あることでしょう。アニメには色々と制約がつきますから、その際に変更してしまう部分も結構見受けられますからね。 そういうわけで、アニメと原作が異った展開を取る作品も多くなっているのですが、原作を知っている者からすれば、ここが省かれてるとか、この箇所が違うとかが気になってしまうものなんですよね。それは、自分が好きな作品なら尚更のことです。原作が好きであればあるほど、原作改変による劣化がムカついてしまうものですから。 つまり、原作を知ってる作品は、必然的に評価が厳しくなってしまうことも多いのです。先の展開を知っているというのは、初見ならではの新鮮さや驚きを感じられない分、面白さというのも落ちてしまうことでしょう。そして、純粋に物語を楽しむというよりも、どうしても原作との比較に目が行きがちで、悪かった部分の印象が特に強く残ることになるからです。 ここで注意したいのが、同じ作品でも原作を知る人と知らない人での評価には、差が生まれてしまうこともあるということなんです。 客観的に見れば、本来そこまで駄目な作品ではないはずなのに、そういった原作信者からの必要以上のダメ出しによって、そのアニメに駄作という印象が定着してしまう…こういう作品も幾つか存在しているのでは無いでしょうか？ 原作から劣化しているとは言え、そのアニメ単体で見た時に十分良作の域に達しているものもあるはずです。それまで否定してしまうのは、ほんとは良くないことなんですね。何故なら、その作品を見たこと無い人とかがその評価を鵜呑みにしてしまい、これから見ようという気を無くしてしまう恐れがあるからです。 まあ、私も評価する時はなるべく気をつけようとは思っていますが、これがなかなか心情的に難しいんですよね。ですから、原作信者がけなしている作品でも、最初から敬遠せずに一度は手に取ってみるのがいいかもしれません。意外に騒がれてるほど悪くは無く、自分の気に入るものが見つかることだって十分にあり得るはずですから。 面白ければ儲けもの…くらいの感覚で見てみるのが良いでしょうね。そして、それにハマることが出来れば、さらに原作に踏み込んでいけばいいのですよ。そう、アニメは足掛かりくらいに考えとけばバッチリです。（中には、アニメの方が原作より優れているというケースも稀にありますので、そこはご注意を…） そして、原作信者…特にギャルゲー原作のアニメが放映される時は、初めからあまり期待をかけないようにするのが正しいでしょう。このジャンルのもので、原作を越える出来になるってことはまずあり得ないことだと思ってますから。 ギャルゲーはマルチエンドの形式が多く、シナリオの方も分岐することが前提として作られており、それぞれのシナリオがお互いに干渉しないパラレルワールド的な意味合いで成立することによって、全体の整合性を保っているのです。全てのルートをやることで、一つの作品として完成してるんですよね。 それを、どう足掻いても一本道しか表現出来ないアニメでやろうとすること自体、ぶっちゃけ無理があるんですよ。シナリオなんかは、それぞれのヒロインのエピソードを万遍なく見せなきゃいけないから、必然的に主人公の全キャラ同時攻略みたいなちょっといやらしい感じになってしまいますし… というわけで、ギャルゲーを一本のアニメ作品としてまとめるために、構成の大きな修正も余儀なくされるのですが、ここで手を加えられることで大なり小なりの劣化が生じるのがほとんどです。まあ、難しい作業ですから、カットされるシーンがあったりするのは、むしろ当たり前のことだと思います。 つまり、ギャルゲーアニメには劣化がつきもの…このことを、念頭において視聴するのが正しいのかもしれません。（或いは、思い切って見ないことも一つの選択かも…） ギャルゲーアニメは、一般には馴染みの薄いそれらの作品を、日の当たる場所に導いたということで、既にその役目の半分までを果たしたといっても過言では無いかもしれません。故に、好きな作品だからと言って、あまり内容自体に期待をかけるのはやめておいたほうがいいでしょうね。 私自身もこの手のジャンルに過剰な期待をかけて、何度裏切られてきたことか…これは、そこから学んだ一つの教訓です。 |